チンギス・ハーン(10)

テムジンは、トオリル・ハーン率いるケレイト族に苦戦していたが、ケレイト族の内部分裂により形勢を逆転し、モンゴル高原の東部、中部までを勢力圏を拡大した。
テムジンが国造りに力を注いでいる一方、ナイマン国では、メルキト部族らの生き残りと協力し、モンゴル族を攻撃しようと計画が進んでいた。
それを知ったテムジンはナイマンを討伐し一二〇六年、全モンゴルのハーンを宣言しチンギス・ハーンと名を改めた。
しかし、新興国家であるモンゴルは安定せず、また金国への復讐も残されていた。
※秋田書店刊 ハードカバー版を分冊しています。
ある夜、疲れきって仕事から帰ったアンナのもとに亡き兄に代わって領主となった幼なじみのライダーが訪ねてきた。
身分の違いからアンナが淡い恋をあきらめた男性だ。
久しぶりに会う彼はやつれたようすで、アンナの胸は痛んだ。
ところがライダーはふいに敵意に満ちた目を彼女に向け、財産目当てに弟と結婚するつもりかとつめ寄る。
身に覚えのないアンナは激怒して彼を家から追い出し、あとで誤解に気づいて謝りに来たときも門前払いにした。
もうライダーとは二度とかかわりたくないと思っていた。
一年後、幼い日の思い出深い地で再会するまでは。
グエンナの目の前で、父が横領の罪で逮捕された。
愛人の子として生まれ、つらい幼少期を送ったグエンナだったが、母の死後、自分を引き取ってくれた父親には感謝していた。
だからこそ父を助けたい一心で、彼を告訴した会社を訪ねたのだ。
面会に応じてくれたのは、会社の経営者にして、億万長者としてその名をはせるアンジェロ・リッカルディ。
緊張して待っていたグエンナは、現れた男性を見て驚いた。
数日前偶然に出会い、ひそかに心ときめかせた相手だったからだ。
だがグエンナをさらに驚かせたのは、彼が口にした言葉だった。
「きみが僕の愛人になるなら、告訴を取り下げてもいいだろう」実業家の父ジャイルズは商談を成功させるためなら手段を選ばない。
若く上品な女性の連れが必要なときは、娘のイブが駆り出される。
今夜も豪華なホテルに同行させられたイブは、憂鬱な気分に襲われていた。
いつも父親の言いなりになるしかない人生なんて。
もうたくさん――その思いが強烈にふくれ上がった次の瞬間、彼女は、こちらに向かって歩いてくる男性に目を奪われた。
とっさにその場から逃れ、海に面した裏手のドアをすり抜ける。
ところが彼は追ってきて、二人は名前も知らぬままキスを交わした。
皮肉なことに、その男性こそ父のビジネス上の敵、アレクセイだった。
アレクサが働く洋品店に男がふらりと入ってきた。
ジョヴァンニ! 五年前から別居している戸籍上の夫だ。
ナポリで彼と恋に落ち、電撃的に結婚した彼女は、あまりに嫉妬深いイタリア人の夫に耐えきれず、新婚早々家を出た。
今さら私になんの用があるというのだろう。
ところが、ジョヴァンニは意外な事実を打ち明けた。
死んだと聞かされていた父親が実は生きていて、中東の国ハラスタンのシークだとわかったという。
「一緒にハラスタンへ行ってほしい。
僕の妻として」妻失格だとなじったくせに。
とうてい従うわけには……。
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